ミスターアトミック
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直訳すれば原爆男。今じゃ問題だよね。1959年初頭初来日した覆面プロレスラーだ。覆面の中に凶器を忍ばせて頭突きをやる。対戦相手は流血する。観客は興奮して気がつかないレフェリーに野次を飛ばしリング内に物を投げ込む。その時期、大エースの力道山は海外視察中で留守。残った豊登以下日本レスラーは皆アトミックの凶器頭突きで血だるまにされ惨敗!プロレスファンは気がきではない。「早く力道山よ、帰って来てくれぇ!日本マットが覆面野郎一人に蹂躙されているぞ!」。ミスターアトミックはデストロイヤー以前に来日したマスクマンの大悪役レスラーであった。同じ年の春、記念すべき第1回ワールドリーグ戦が開催された。今で言うプロレス版ワールドカップのような大会で、それぞれ海外のレスラーが出身国を背負っての出場だったので、それはもうスケールがでかく日本各地大変な人気であった。準決勝まで残った4人は力道山、ジェスオルテガ、エンリキトーレス、そしてミスターアトミック。オルテガ―トーレスと力道山―アトミックの組合せ。オルテガが勝ち
上がり、いよいよ力道山―アトミック戦。力道山が仇を討ってくれるだろうと誰もが願う。アトミックのパンチと凶器攻撃にエキサイトした力道山はなんとアトミックの覆面を剥ぎ取り空手チョップの雨あられ。素顔のアトミックを血だるまにする。レフェリーの注意を無視して空手チョップを連発する力道山。仕方なしに力道山の反則負けを宣言する。必死に素顔を隠すグロッキー状態のアトミックの手を挙げる。決勝戦は外国人同士か!だが勝者アトミックのダメージ深く棄権となり、決勝戦は力道山―オルテガとなる。超満員の東京体育館は大興奮。見事オルテガを破り、記念すべき第1回ワールドリーグの覇者になった力道山。だが、アトミックとの決着はついてない。その後のシリーズの最終戦でやっとアトミックに完勝して決着をつけた。このシリーズもアトミック人気で各地超満員の盛況だったらしい。アトミックは力道山時代に2回、ジャイアント馬場時代に3回の来日を果たした。力道山時代はもしかすると3回かも知れないが?ともかく最後の来日は1970年夏。あのアブドー
ラザブッチャーが初来日したシリーズだった。まさに悪役レスラー新旧交代の節目だったのかもなぁ。最終戦は馬場―ブッチャーのタイトルマッチ。セミに登場したアトミックは試合終了後、小さく自分の耳元で観客に対し何度か手を振った。悪役らしからぬ行いだった。当時高校生のプロレスファンだった私は今だにその姿が脳裏に残っている。日本のプロレスファンに対する別れと感謝の意味だったのか?実際これが最後の来日だった。それから10年後に亡くなったのかな?力道山も馬場さんもアトミックの力量を認めていた。本名はクライドスチーブンス。かなりの親日家だったと聞く。1度会って見たかった。
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メンテナンスのはずが
現在の我が身体のチェック。6日は午前、7日は午後に検査。なにぶんなかなか腰痛が治らない。今回は長い。
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Comment
渕選手へ
「ミスターアトミック」拝見しました。凶器を持ち込んでのラフファイトは試合観戦していませんので、文章でも複雑な思いです。レフェリーの判断も難しいかと。因縁が残らない様に決着がついて何よりです。知らない試合内容を読むのは本当に楽しいです。綴って頂きまして、どうもありがとうございます。
暦通りに冷え込みが強くなって参りました。どうぞお疲れになどなりません様、ご自愛くださいませ。