輪島さんの想い出続編
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私同様結構な寂しがりやで、オフになるとよく電話がかかってきた。80年代後半、まだ携帯が普及される寸前の時期。輪島さんは電話魔だった(笑)。私だけでなく様々な人達に電話しまくっていた。居酒屋に居ようがクラブに居ようがね(笑)。懐かしく思い出す。「渕君待ってんだよ!早く来いよ!」「えっ?今夜何か約束してましたっけ?」「いいから!赤坂の小料理屋にいるから!みんなで待ってんだよ!」「みんな?」「いいから!早く早く!」夜10時頃だった。ともかく指定された赤坂の小綺麗な小料理屋に向かうと輪島さんは一人でカウンター席に座っていた。「横綱一人ですか?」「渕君遅いからみんな帰ったよ」私は戸惑いながら隣に腰掛ける。カウンターの中から大将が笑顔で私におしぼりを差し出す。誰かが居た形跡はない。他に客もいない。たぶんあっちこっち電話して暇人は私だけだったようだ。だが料理は豪華〓ふぐ刺しにふぐちり〓そしてヒレ酒〓さすが元横綱〓だけど当時、輪島さんは借金などの苦労があったはず。「豪勢ですね。だけど横綱大丈夫ですか?」「何
が!金の話なんかするなよ!せっかくの料理が不味くなる!」「…わかりました。いただきます」あとはいつもの私スタイルでガツガツ頂いた(笑)。飲んでる時食べてる時は愉しい話に終始した。輪島さんの側にはいつも電話機。受話器を取って誰かと話す。もう一方の手にはヒレ酒。案外それが様になっていた。本当にいろいろと御馳走になった。どちらかと言うと肉料理より魚料理を好んだ。道場での練習で相撲技のカンヌキ固めを決められた時は即ギブアップした。スタミナではなんとかこっちが有利だったが、腕力とダッシュ力は凄かった。ぶつかり合いでは本当に吹っ飛ばされた。ラグビー出身の阿修羅原との試合でのぶつかり合いは今思い出しても凄い迫力だった。歴代横綱の中でも実力、実績、知名度は一級品だと思う。馬場さんとは入団前からゴルフを通じて知り合ったと聞く。輪島さんとの3年間、短い期間だったが公私に渡ってお付き合いできたことは幸せであった。
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渕選手へ
輪島さんのお話、拝見しました。美味しくお食事して楽しくおしゃべり出来る可愛い後輩にご馳走してくださったのかと。大胆で優しいお方だったのですね。思い出話を綴って頂きまして、どうもありがとうございます。風が冷たく感じる気候になりました。何卒お疲れになどなりません様、ご自愛くださいませ。